A…一般的に柱状結晶をしていて、柱面(横の面)にはセンター軸に平行に条線(結晶面に現れる筋)が見られます。断面は六角ですが、三面のみ大きく発達していて三角形に近いものも多いのです。

柱状結晶の両端面が三面120度で、笠を被ったようになっていて、どれも上下で180度ずれています。さらに面の角度も違っていて、上下に非対象で「異極像」といわれます。結晶構造はとても複雑で、歪みを生じさせている結果、熱や圧力などの外的な要因によってさらに歪みが大きくなり、その歪みを解消するために電気特性が発揮されるのです。
わかりやすく説明するために、トルマリンの結晶構造をハンバーガーに例えてみましょう。

第一層~第六層からなっていて、第一層から第三層、第四層から第六層、第一層というように重なり合っていますが、第一層から第三層は上のパン。第四層から第六層がレタス、トマト、ハンバーグ。さらに、第一層から第三層が下のパンとなります。
たとえば、上のパンと下のパンだけならば、安定して食べやすいのですが、トルマリンの結晶の場合は、パンの間にレタスやトマトなどいろいろな具が挟まっていて、とても不安定で食べにくい状態になります。この挟まっているものが原子で、トルマリンの原子の多さと複雑さを「ゴミ箱みたいな」と例えた学者もいるそうです。
 原子が複雑な組成であるために、結晶が不安定な状態で形成されていて、そのため、わずかな圧力が加わるだけで、安定した状態に戻ろうとして帯電します。
 つまり、外部の圧力や熱によって中に挟まった原子の歪みが生じ、この歪みを解消するために電気を発生させるというわけです。これが、トルマリンが微弱電流を発生する真のメカニズムであり、トルマリンが「電気石」と呼ばれる所以です。